老後不安を解消!「つみたてNISA」と「iDeCo」で
老後2千万円問題も、もはや過去の話題となってしまった昨今ですが、「ふっ」と定年後の生活資金の事などを考えてしまうと、どうしても「自分は本当に大丈夫なのだろうか?」と思うこともあるでしょう。
インフレによる物価高に、化石燃料(石油等)に関連する燃料代等の値上げ、ローン金利上昇などが一気にやってきたのですから。
そこに、給料の基本給のベースアップは大企業でなければ、通常の昇給に雀の涙ほどのアップが大多数で、それを実感が出来るような額ではないという現状。
極めつけで、老後に備えて「預・貯金」すら捻出できるか厳しいほどの、給料に課せられる重い納税額(健康保険・厚生年金等含)…と、先行き暗いニュースばかりです。
しかし、「つみたてNISA」と「iDeCo」を上手に利用し、定年までの「時間」と「複利の力」で、仮に少額であったとしても「老後生活安心圏」までもって行くことは可能です。
もちろん、老後に現役時代のうっ憤を晴らすほどの、贅沢三昧を出来るような額にするには、少額投資では難しいですが、日常生活を問題なく送ることはできます。
「つみたてNISA」は、2024年に新制度へ
「つみたてNISA」は2024年に「新NISA」制度に変更予定ですが、条件としては現状よりも良くなると捉えて大丈夫なので、この記事を読むにあたって、新制度について深く心配する必要はありません…基本的な考え方は一緒です。
現役時代からの積み重ねは必要
私は、今のところ会社員の経験しかないので、基本は「会社員」ベースでの具体例になります。
ですが、個人事業主や自営業者でも考え方の基本は一緒です。
個人事業主又は、自営の方ならその職業を一般的な定年後でも継続可能でしょうから、退職金がなくてもここでは、さほど問題ではありません。
60歳(現状の定年…2025年4月以降変更予定)までは、現役のフルタイムで働いた給料で生活します。
その給料の中から、控除額と一緒の考え方で、ご自身で「つみたてNISA」と「iDeCo」を資金を捻出。
先に給料から差し引くという考え方で、言い訳で積み立てるのを止めたり中断することを防止。
「預・貯金」をするという考え方でも構いませんが、それだと余剰資金と言う感覚が出てしまい、出費が重なると「今月は苦しいから…」等の理由付けをして、結局やめてしまう可能性が高くなります。
「投資」は若ければ若いほど「時間」と言う利点を活かせるので、20歳代、・30歳代の資金は少額でも構いません。
「つみたてNISA」と「iDeCo」の毎月積み立てたい金額(目安金額)
20歳代開始なら…それぞれ毎月10,000円(計20,000円)
30歳代開始なら…それぞれ毎月15,000円(計30,000円)
40歳代開始なら…それぞれ毎月20,000円(計40,000円)
決まりは無いですし、「老後はどのくらいの生活水準で過ごすか?」で、全く「投資」金額は変わってきますので、あくまで目安です。
早く開始すれば、時間と複利の力が働いて大きく増える可能性があるので、金額はずっとそのまま(余裕があれば増やす)でも良いと思います。
老後を心配しての事であれば、この金額は何とか確保したいですね。
この他には、特に「投資」をしていないことも考慮しての目安金額です。
老後の具体的な「収入源」
「つみたてNISA」と「iDeCo」の使いどころ
年齢 | 収入源 |
---|---|
60歳まで | 給料所得 |
60~65歳(5年間) | パート・アルバイト(再雇用等含)+ 退職金 |
65~70歳(5年間) | iDeCo(企業年金)+ 退職金 + アルバイト |
70~75歳(5年間) | iDeCo(企業年金)+ アルバイト + つみたてNISA |
75歳から(約25年間) | 最大繰り下げした公的年金 + つみたてNISA |
・公的年金の「繰り下げ」とは…年金を受給するタイミングを遅らせる(最大10年・1か月あたり0.7%増額…最大で84%年金受給額が増える)
・反対に「繰り上げ」とは…年金を受給するタイミングを早める(最大5年・1か月あたり0.4%減額…最大で24%年金受給額が減る)
毎月の目安収入額(税金等の控除は含まない)
記号:Ⓐパート・アルバイト/Ⓣ退職金/ⓘiDeCo/ⓃつみたてNISA/ⓟ公的年金
年齢 | およその金額 |
---|---|
60歳まで | 現在の所得金額 |
60~65歳 | Ⓐ16万円(1000円×8h×20日) + Ⓣ11万円(700万円÷60か月)=27万円 |
65~70歳 | ⓘ13万円(積立額が1600万円だったと試算÷75歳までの10年間受取120か月) + Ⓣ5万円(残300万円÷60か月)+ Ⓐ10万円(1000円×6h×18日)=28万円 |
70~75歳 | ⓘ13万円(条件は上と同じ) + Ⓐ10万円(条件は上と同じ) + Ⓝ8万円(積立額が3000万円だったと試算70~100歳まで360か月)=31万円 |
75歳から | ⓟ27万円(繰り下げた平均額で算出) + Ⓝ8万円(条件は上と同じ)=35万円 |
㊟・これは、私、個人の意見ですので、この金額や考え方が正しいことは一切ありません。
目安にできそうな考え方や試算額(年代で金額がバラバラですが、20万円台後半から30万円を目安に考えた結果です)を、おおよそで表現したまでです。
「つみたてNISA」や「iDeCo」を含む各種投資は、ご自身のリスク許容度の基、正しい方法で真っ当な商品を購入し正しく運用を行えば、資産が増える可能性が高くなるのであって、必ず増える(保証する)というわけではありません。
「退職金」は、中小企業の平均額の1千万円が根拠です。
公的年金は、受給権取得時(現在65歳)に「繰り下げ受給を申請」することも前提条件。
「つみたてNISA」や「iDeCo」も、順調に資産を増やせたことが前提条件。
この表での金額は、万円未満は切り捨てで記載。
一般的な金額や、平均値で考えていますので、これより余裕がある場合もあれば、少なくなる場合も勿論あります。
75歳からは、公的年金を繰り下げ受給できれば、余裕が持てそうな金額になりますね…しかしあくまで試算なので、この額が保証されることはありません。
定年後は、収入が少ないと感じたり働くことが困難な場合は、公的年金を受給権発生時から受給を開始するとか、「つみたてNISA」を予定より早く取り崩していくなどの方法もありますが、その後を考えるとお勧めはできないです。
アルバイトのバイト代も時給1,000円計算なので、もっと高自給のところや、働く時間を長くしたり(65歳以降は短めに想定しています)、場合によっては資格などを活かし正社員で働けたら、金額に余裕も出るでしょう。
金額もやり方もギリギリラインで設定しているのではなく、条件は上(良くも)にも下(悪くも)にも自分のその年齢時の能力の応じて、融通を利かせることはできます。
75歳以上は、仮に「つみたてNISA」が枯渇しても、公的年金は受給時開始時の金額を亡くなるまで受け取ることが出来ますので、100歳以上生きても何とかなりそうですね?
「つみたてNISA」と「iDeCo」のシュミレーション
「つみたてNISA」や「iDeCo」を含む「投資」は、条件次第で結果が全く変わってきてしまいますので、一概にはこの金額になります…とは言えないのですが、例えばのシュミレーション結果を下に示しています。
これは先ほどの収入金額になるように逆算をして、金額・想定利回り・期間を決めています。
因みに、「毎月の積み立てる金額」と「積立期間」はご自身で決めることが出来るものです。
逆に、「想定利回り」は運用期間中、ご自身で決めることの出来ないもの(シュミレーション上では出来ます)…あくまで「想定」であり、これは運用期間中、購入商品の価値が経済情勢などで左右されるものだからです。
ここでは8%設定(過去平均の最大値)にしていますが、これよりもっと多い場合もありますし、少なくなってしまう場合もあります。
払い出し時期にも大きく左右され、コロナショックの様な経済停滞時には利回りは下がりますし、その後に起きた経済回復期だと利回りは上昇します(払い出しタイミングが数週間違うだけでもかなりの差が出ます)…できれば景気の安定した(上昇時)状態の時に払い出したいですね。
・「つみたてNISA」を毎月2万円・想定利回り8%・積立期間30年間で運用した場合の最終積み立て金額は、約3,000万円になります(金融庁シュミレーション利用)。
・「iDeCo」を毎月1万2千円・想定利回り8%・積立期間30年間で運用した場合の最終積み立て金額は、約1,600万円になります(NTTデータエービックシュミレーション利用)。
㊟・あくまでシュミレーション結果であり、この金額が保証されるわけではありません。
公的年金受給開始のタイミング
公的年金を繰り上げ受給する事は、わたしはお勧めしません…理由は単純に金額を減らされるからです。
困窮してまで待つ必要はありませんが、早くても65歳(現在の受給権開始年齢)からが妥当と思います…勿論ですが、繰り下げはその時の現状に余裕があっての繰り下げです。
ご自身の寿命がはっきり予測できて、先が長くないような場合には、繰り上げて受給する方が良いかもしれません。
数年前に「年金制度破綻」などのニュースも見かけましたが、政府も何とか維持することを目指し、「投資」という方法を選択し、現状では高齢化が加速してもやりくりは可能な年金資産状態にあります。
公的年金は、人生100年時代の到来予測と平均寿命の延びなどの考察から、段階的に受給開始年齢を遅らせることが決まっていて、2029年4月以降は66歳~、2041年4月以降は67歳~の引き上げ予定です。
現在45歳であれば、公的年金の受給権取得は67歳という事になります。
他にも前提条件があります
65歳を迎える時点で…
・住宅ローンは終わっていること。
・自動車ローンや教育ローンなど他のローンも、借り入れがないこと。
60歳以降は…
・ある程度の「預・貯金」があること。
・自動車購入や、海外旅行などの高額な消費は、「預・貯金」から捻出すること。
・扶養家族などの諸条件は、加味していないこと。
などです…他にもありますが、上げ出したら切りがなくなってしまいますので、大まかなところで。
まとめ
老後の生活に必要なお金、価値観、家族構成、生活環境など、100人いれば100通りの条件があります。
先ほどの「目安収入額」が少ないと感じるのであれば、「投資する額を増やす」、「預・貯金額を増やす」…それが難しいなら、「もっと給料のいいところで働く」、「副業をする」など、選択肢は存在。
不安を抱えたままなのに、何も行動しないのが一番悪い選択肢です。
いろんな生活形態が存在する中、部分的にくり抜いて「これが正しい判断です」…みたいなことは簡単には言えませんが、多少の目安になるような、参考になるような考え方として今回、一例を挙げてみました。
「預・貯金」を止めて「つみたてNISA」と「iDeCo」やりましょう…と言いたいわけではありません。
なので、現在の生活で「預・貯金」をして、その上「つみたてNISA」と「iDeCo」もして…になれば生活に余裕がなくなって困る人もいるでしょう。
しかし、老後は若い時と違って、身体や行動の自由さは制限されてきます。
「老後は老後になってから…」だとか、「なんとかなるでしょ…」の考え方では、何とかなるかもしれないのですが、その場しのぎの生活になる可能性も高く、主体的に(自分の意志・判断決定)生活していくことは難しいでしょう。
お金は人生の全てではありませんが、「お金がないと生活ができない」のは事実です。
「つみたてNISA」や「iDeCo」を含む「投資」には、元本(払い出したお金)よりも増える可能性がある特徴があります。
繰り返しになりますが、必ず増えるのではなく、「正しいリスクを取り、正しい方法で、真っ当な商品を購入し、正しく運用」をすれば、資産は増やせる可能性が高いのです。
また、「つみたてNISA」と「iDeCo」は、税金の優遇措置があります。
保険屋さんが儲けるだけの「怪しい積立保険」や、広告をうのみにした「怪しげな投資」を行わずに、これらの真っ当な「投資」からまず始めましょう。
これらを有効利用して、「老後不安」の解消が出来ることを期待します。