100万円は、10年後に100万円の価値があるか?
まず、「インフレ」の言葉の意味を説明しておきます。
インフレとは?
「インフレ(インフレーション)」とは、「モノの価値が上がり続ける状態」を指します。別の言い方をすると、「お金の価値が下がる」ことです。
モノの価値 | 増加分 | 価格 | |
今の価格 | 100円 | 10%(消費税) | 110円 |
インフレが起きる | 価値が上がる | 5%(インフレ率) | 105円 |
インフレ後の価格 | 105円 | 10%(消費税) | 116円 |
余計にわかりづらくなってしまいましたか?
現在、各食料品メーカーが相次いで価格の値上げを実施しています。
インフレというものを、ものすごく実感できる状況ではなでしょうか?
要は、今まで110円で購入できていたものが、インフレが起き、価格上昇した場合(インフレ率5%だとして)116円になってしまい、6円余計に支払わなくてはなりません。
お金でも一緒です。
例えば今、100万円を貯金して10年後に使おうとしました。
現在100万円は100万円の価値で間違いありません。
これがインフレ率2%で推移した場合、10年後には約82万円の価値しかないといわれています。
もちろん、銀行が悪さをして82万円に減るわけではありません。
額面上は100万円です。
現金の価値が下がります。
モノの価格は上昇し、価格が上がっているのですから当然ですよね?
10年前と価値が変わるので、10年前に100万円で買えたものが、10年後には100万円では買えなくなる…同じ買い物はできないという事です。
わかりやすい、実際に有り得る「例え」
私の父の世代(現在70代)は「自動車免許」を取得するために必要な取得費用は約3万円(話で聞いたおよその価格)です。
地方にまだ高速道路なんかもありませんし、車が一家に1台の時代でもありませんでした。
自動車免許の価値自体も絶対的でなく需要もそれなりですし、モノの価値価格も現在とは違いましたから当然です。
その後、高度経済成長の波に乗り、自動車産業は大盛況となり、「自動車免許」の価値も一気に高まりました。
その結果、私の時代(現在40代)では既に、「自働車免許」の取得費用は約30万円必要な状態に変化を遂げたのです。
約30年で、自動車免許取得費用は価値(価格)が約10倍に上昇。
もし私の父が「お前のために車の免許の取得代を準備しておいたぞ…ほら3万円」と手渡されても「あ、ありがとう…(全然足りないけど…)」みたいな状況になってしまうという事です。
歴史に残る高度経済成長での日本経済の急成長はありましたが、このような場合は特に価値が全く変わる典型的なパターンです。
100万円は100万円で間違いはないのですが、将来的にいつでもどんな時でも現在の100万円の価値があるとは限りません。
「物価」が上がるから、「給料」も上がるわけじゃない
インフレが起きている場合、政府も「企業(会社)」に対し、賃上げ(給料の増)要求をします。
最近では、最低賃金の引き上げもまた行われました。
しかし、私たちは素直に喜んでばかりいられる状況ではないのです。
最低賃金の付近で給料を支払っている飲食店頭では、その給料の額が実は、経営の「ギリギリライン」の可能性だってあるし、最低賃金は法的なルールなので必ず従わなくてわならず、賃上げの結果「廃業」といった結末を迎えてしまうかもしれません。
「賃金を上げること=良いこと」ばかりではなく、「潰れること」と隣り合わせの事業主もいるという事です。
大企業・中小企業に限らず、現在コロナ禍からの経済回復を受けて、業績が伸びている企業は本当に多いのですが、我々の給料は相変わらずの状況。
その原因は、ほとんどの企業で同じです。
「内部留保」と言って、企業(会社)がお金を貯めこんでいる状況があります。
これは、今回のようなコロナ禍みたいな状況(会社の経営を左右するような)が、また近年中に起きてしまった場合を想定して、企業側も警戒しているのです。
記憶に新しいところでは、2008年のリーマンショック・2011年の東日本大震災・2020年コロナショックと大きな景気下降停滞が10年以内に1度は起きている状況もあります。
日本の気候の様変わりもあり、「いつ水害や土砂災害が自分の企業に襲い掛かるか…」という不安もあるでしょう。
また、DX(デラックスではないですよ…デジタルトランスフォーメーションの略)で社会環境や、AIやIоT導入など、企業が変化に対応していく為の「投資」費用としても必要になります。
私たち雇われの社員にとっては、「利益が出たのなら社員に還元してくださいよ…」といった感じなのですが、企業側は、「何かあったときに給料支払えなくなったら困るから、ストックさせてよ…」といったところでしょうか?
このような背景から、「物価が上がって、企業も利益が出ました…じゃあ、私たちの給料も上がるでしょう…」といった考え方は、“楽観的”過ぎるのです。
やっぱり「投資」は最適解の1つ
お金の価値は、将来的に下がる可能性が高い。
今後、会社の給料も上がり続けることが、期待できるような状況でもない。
では、どうしたらよいか?
そこで「投資」は、1つの最適解になってくると思います。
毎月3万円を「つみたてNISA」等で、10年運用して想定利回りが5%だった場合は、465,8万円。
想定利回りとは?
わかりやすく言ってしまえば、「投資」をすると「今現在何%で運用しているか?」運用金額と共に常に表示されていて、その利回り(%)で運用できた場合(上記の場合5%)のことを指します。
毎月3万円を「預・貯金」した場合は360万円ですから、その差は105,8万円。
「投資」で、想定利回りで運用できた場合、105,8万円増加しています。
もちろんそれ以上の利回りの場合もありますし、それ以下の場合もありますが…
お金が、自らその価値を上げてきてくれる可能性が高いのが「投資」です。
何度でも繰り返してしつこく言いますが、「必ず増えるわけではありません」。
ですが、「NISA」や「つみたてNISA」は金融庁の「お墨付き」商品しかラインナップされていません。
怪しい「商品」は、最初から撥ねられているのです。
そう、「資産が増える可能性が高い商品(もちろん全てではありません)」が、もともとそこには選ばれています。
まとめ
インフレになって、全ての場面で価格や給料等が上昇するのなら、これはとてもいい経済状態でしょう。
しかし、どこかでお金の流れが悪くなると、一部で利益が出ていたり、一部では値上げが行われただけで、自分は何にも恩恵が受けられないという状況もあるでしょう。
先ほども書きましたが、現在は企業の「内部留保」が大きな要因で、私たちのような庶民の給料は増えないのに、「モノの価格だけ上昇」が続いています。
その状況に不満を述べていても状況は打破しません。
自分にできることを考えて行動していく方が、建設的なのです。
自分で、この社会の状況を変えていける自信があるのなら、政治家に立候補するのもいいでしょう。
しかし、現実的ではありません。
私たちにできる事で、現実的なことは、「ストレスが溜まらない程度に支出を減らし」、「余剰資金を作り出して“投資”を行う」ことだと私は思っています。
私の場合は、将来的な不安が日に日に増していたので、「投資」が先でした。
①「投資」をしたい(実は既にした)のに資金がない(預金に余裕がない) →
②「支出を減らそう」 →
③「無駄遣いをしなくなった(買い物に慎重になった)」 →
④未来の自分にお金を送っている実感があるので、未来が明るく見えてきた →
⑤現在に余裕を感じるようになった
の順番です。
これが他の方々にも当てはまるとは、全然思っていません。
しかし、行動を起こしたことが自分を変えたと実感できます。
悲観して、原因を他人になすり付けて嘆いても未来は変わりませんが、自分で学び考え行動していけば、少しずつ未来は変わるはずです。
昨日の自分よりちょっとずつ、変わって(変えて)行きましょう。